04.11
経済的リターンを諦めない、社会インパクト投資への貢献を考える。
SDGsの観点で持続可能な社会を実現するための社会インパクト投資が増えています。社会インパクト投資とは、経済的なリスクとリターンだけでなく社会的リターンも考慮する投資活動です。
具体的には、電気が通っていない地域へのインフラ投資や、新興国で⾦融機関から融資を受けることができない地域の⼈々への融資などが対象になります。後者の融資については、彼らは融資された資⾦をもとに学校へ⾏き、または事業を開始するなどの現状の置かれた環境を変えることに資⾦を使います。こうした融資は、マイクロファイナンスとも呼ばれます。
近年、⽇本では新興国への融資も資産運⽤の⼀環として選べるようになってきました。⽇本で貸付型のクラウドファンディングのプラットフォームを運営するクラウドクレジット株式会社に商品開発と途上国⽀援の仕組みについて話を聞きました。
そもそも途上国の融資は、為替の変動によるリスクをヘッジ(回避)しにくいのですが、現地通貨が必要とされるので、現地通貨で⾏われます。そして、現地の市場⾦利をベースに借入人のリスクをふまえて貸付が⾏われるので、低⾦利の⽇本と⽐べると⾼い利回りを実現することも可能です。
世界銀⾏で政府機関向けの融資に携わった経験がある⼤⻄さん(同社 商品開発部⻑)によると個⼈向けの投資商品では、より⾼いリスクの商品が選ばれる傾向にあるそうです。そのため、⾼いリスクのある商品については、同社の募集ページに⾒やすく注意書きがなされています。
経済的リターンを諦めず、社会的リターンを出す商品とは。
途上国⽀援ではベーシックヒューマンニーズが重視されます。ベーシックヒューマンニーズとは⾐⾷住・健康・教育・雇⽤などの⼈間の基本的欲求です。「無電化地域に電⼒が通ることで夜に勉強ができ、また冷蔵庫が使えることで⾷料の保存により調達にかかる時間も削減でき、健康的な⾷事が取れやすくなります。このような地域への太陽光発電による機材を販売、リースする事業への融資が⽀援につながります。」(前出の⼤⻄⽒)
企業の保有資産の運⽤に向いているのかを検証。
資産運⽤は⾼いリターンを求めるあまり、資産の割合がリスクの⾼いものになることを避ける必要があります。それはつまり保有する資産のリスクとリターンを配合し、⼀部でリスク(減資)しても同時に他⽅でリターン(利益)を⽣むことです。資産の偏りは短期的に利益を⽣むことがあるかもしれませんが、⻑期的なパフォーマンス(収益率)に貢献しません。
この考え⽅は1952 年にアメリカの経済学者はハリー・マーコリッツが発表した論⽂が発端となり研究されたポートフォリオ理論と呼ばれ、彼はのちにノーベル経済学賞を受賞しました。企業の資⾦運⽤のニーズは様々ですが、安定的に利益を⽣み出されるのであれば、社会インパクト投資視点を組み⼊れることは、資産形成だけでなく社会課題を解決する企業活動にとっても有効かもしれません。