2021
08.19

アフガニスタンの事実上の掌握をタリバンが宣言。その背景にあるエネルギー問題とは。

ESG投資

米国はアフガニスタン政権と反政府勢力タリバンの仲裁役を数十年にわたり行ってきた。

トランプ前政権時代には米軍のアフガニスタン撤退と引き換えに、テロの温床にしないことをタリバンと約束した。

その後、予定から少し遅れるが米軍が撤退し、タリバンは勢力を強め今日のようになった。

その裏には、タリバン政権を支援した中国の存在が大きいと言われている。

中国は「一対一路」戦略として、新疆ウイグル自治区、チベット自治区の西側に位置するイラク、サウジアラビアといった石油資源国と陸続きで国交を深めている。

二つの自治区と陸続きで中国と国交を結んでいないのは、アフガニスタンとその南にあるパキスタンのみ。

今や石油消費大国である中国にとって、石油を陸続きで調達できることは重要な課題となっている。

一方で、アメリカが脱炭素社会を掲げる背景には、米軍のあらゆるコストが膨大となっていることがある。

トランプ前政権時代から、米軍の国外拠点縮小と、米国製の武器の提供を行う方針へと切り替わっている。

米国が国外で軍隊を置くのは主に、石油資源の確保とロシア、中国へ勢力拡大の抑止力となるためだが、バイデン政権は今年9月11日までにアフガニスタンからの米軍完全撤退を表明している。

アメリカが撤退し、石油依存から抜け出す動きに踏み切れるのは、90年代に起きたシェールガス革命により、2014年にアメリカが最大の産油国となったことが大きく、また脱炭素、再生可能エネルギーへの取り組みが進んでいることが推測される。

アメリカや西洋諸国は今後さらにこの分野に投資を進めていくだろう。

資源の調達環境の変化により、世界の勢力図は一気に書き換えられるかもしれない。