2018
12.10

ものづくり投資を経産省支援でどう切り開くのか。

コーポレートファイナンス

経済産業省が推し進めるものづくり補助金は、中小企業にとって生産性向上の後押しとなります。設備の老朽化が進み生産性が伸び悩む、少子高齢化や人手不足、働き方改革への取り組みなど直面する問題は山積しています。今レポートはものづくり補助金の概略をつかむとともに、活用のメリットを明らかにし補助金に対する理解を深めることを目的とし2回にわたり特集します。フェーズ1は補助金の掌握を目指します。フェーズ2は活用メリットを理解し、具体的な活用イメージをお持ちいただく一助となることを目指します。

経済産業省が初めて予算化要求

経済産業省は国に対し、2019年度予算(当初予算)として「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(もの補助)」に、100億円を初めて概算要求します。
2018度第2次補正予算(来年の通常国会に提出される予定。第1次補正予算は災害復旧対策費などが主流で、10月15日閣議決定)として前年程度の約1,000億円 の計上が見込まれていますが、(申請を申し出る)事業者に切れ目なく継続的に講じるため、いわゆる15か月予算とするのが狙いのようです。
15か月予算とは、その年の補正予算(3カ月分)と、翌年度予算(当初予算、12カ月分)の計15カ月間を一体とみなして、予算を編成する手法です。これにより、公募期間中も含め、支援体制に空白時間を生まないようにすることができます。

適用の事業領域は2種類

現時点で予定される事業概要は、1・企業間データ活用型(補助上限額:2,000万円、補助率2/3)と、2・試作開発型(補助上限額:1,000万円、補助率:小規模事業者2/3、その他1/2)の2類型です。いずれも、専門家を活用しアドバイスを受ける場合には、補助上限額が30万円加算し、申請を受けるのに外部機関の助言を頼っても、負担が少ない仕組みになっています。企業間データ活用型の連携体は10社までで、200万円×連携体参加社数を上限に連携体内で再配分可能です。例えば4社連携の場合、合計で最大8,800万円まで補助対象となり、各社の補助額の内訳は、必ずしも均一でなくともよいことになります。試作開発型は、設備投資を伴わない事業者の開発も対象となり、幅広い新規事業支援となっています。また、 所在している市区町村から「導入促進基本計画」の同意を受ける先端設備等導入計画の認定または、新事業活動に取り組み、経営の向上を測るために策定する経営革新計画の承認を取得し、一定の要件を満たす場合は、小規模事業者でなくとも補助率が2/3となります。認証には認定経営革新等支援機関の事前確認が必要です。

中期事業計画の策定で方向性が明瞭化

先端設備等導入計画の認定は、税制支援と金融支援の2つの大きな支援措置が施されます。認定を受けた場合には、3年間課税標準を0から1/2の間で、市町村の定める割合に応じ、固定資産税を軽減措置することになります。また、計画に基づき、事業に必要な資金繰りを支援することで信用保証を設けることができます。
経営革新計画の承認は、同業で相当程度普及している技術や方式などの導入は対象外となりますが、自社において新たな事業活動であれば原則として承認対象となります。経営の向上は、3から5か年計画において、付加価値額と経常利益の伸び率が定められた伸長率(年間付加価値額3%・経常利益1%以上向上)を満たすような、達成可能な計画であることが必要となります。これらの事業計画を明確化することで、将来に向けた目標設定ができ、充実した設備投資が可能となることで、生産性向上が期待できます。また、公的な補助金に採用されることで、社会的な信用獲得にもつながります。