2018
12.10

情勢不安が為替へ影響をあたえる2019年のリスクシナリオ。

インベストメント, コーポレートファイナンス

北朝鮮の核保有問題など緊張もありながらも小幅な変動にとどまった2018年は日米の為替(ドル円相場)。世界経済に影響を与えるニュース、イベントをドル円為替相場の話に絞りリスクシナリオ(マーケット予想)としてまとめていく。

2018年11月の米国中間選挙の反応も落ち着きを見せ、ファンダメンタルズ(物価上昇、雇用増減などの統計データ)の動きに関心が向かうなか、トランプ大統領の税制改革には期待が集まるが、財源根拠が示されず不透明感が払拭はされていない。そんな中、マーケットに影響を及ぼしているのが米国との二国間貿易協定だ。トランプ政権の貿易政策は多国間協定ではなく二国間協定の方が米国に有利に働くとして、一貫してその政策を貫こうと対中国、日本の貿易戦争へと持ち込んだ。その中でもとりわけ自動車税は、米国内のモノ消費の約10%をしめることから米国内の景気に大きな影響を及ぼす可能性がある。

前半は円安ドル高がメインシナリオ

2019年明けからは、日米金利差により円安ドル高となるのがメインのシナリオとなるがリスク要因は以下のようになる。
・株式相場への大きな変動要因とならない程度の米長期金利の上昇
・原油価格の上昇によりインフレや、新興市場への悪影響。
・貿易戦争を発端とした中国、ブラジルをはじめとした新興国経済の不安定化。

 財政赤字の拡大により米長期金利が上昇する中で株安が続くことは米国の資産価値が減価になりドル安に繋がる。加えて、原油価格の高騰も商品の原価を押し上げ、物価上昇から金利上昇を引き起こし、先述同様のドル安につながる。

後半はリスクオフの円高リスクを抱える。

一方で、2019年後半には、金融緩和、財政拡大の効果が低減的となり、雇用指数などに現れる米経済の減速懸念により利上げが打ちどまる観測が広がると、ドル安円高に転じる可能性も示唆される。
加えて英国のEU離脱問題や、イタリア財政不安により、欧州の経済問題は投資家への不安材料となる。これにより、為替への影響が出てくる場合がある。
それはリスクオフ(リスク回避)と言われ、比較的リスクの高い株式などの資産からリスクの低い資産へポジションを変更する傾向だ。
その傾向が強まれば、金利の低い円の需要が高まり、円高を推し進めるリスク要因となる。また、その後のリスクオン相場に戻った場合にも円のキャリートレードと言われる金利の安い円を借りて、金利の高い通貨を通じて運用されるトレードでは一定期間後に円を戻す必要があり、一時的に買い需要が高まることも円高を推し進める要因としてあげられる。

自動車関税の交渉過程のニュースは相場へ影響

また冒頭の自動車関税に話が戻ると日本の自動車メーカーは年間約180万台の自動車をアメリカに輸出している。それゆえ重い自動車税は日本企業に打撃を与え、日本の雇用と経済成長に大きな悪影響を及ぼす。日本国内では、2019年夏に衆議院選挙と与党内での総裁選を控えており、日本はなんとしても重い自動車税を回避したい狙いもある。2019年前半では、この自動車関税が日米経済に大きな影響を与え、その交渉過程では重い関税の可能性が高まれば日本株安と円高に揺れ動く可能性がある。

※本記事中のいかなる内容も、将来の投資環境の変動等を保証するものではありません。