2019
01.27

少額で実践。為替リスクを抑えるフィンテックサービスの活用方法

Fintech, コーポレートファイナンス

フィンテック企業のサービスの活用により、為替予約を行なっている手間も省け、手数料もメリットも得られるサービスに注目が高まっています。その為替予約以外にもリスクを抑えるサービスの仕組みを具体的に解説していきます。

グローバルに活動している企業が直面する大きな課題の一つに為替リスクがあります。実際の取引活動の中で企業が為替変動により、取引価格も変動してしまうリスクのことです。例えば、日本企業と米国企業間の取引で、日本企業が米国企業から商品を購入する契約をしたとします。支払いがドルだった場合、通常支払いは契約を結んでから日数を空けることが多いため、その間に為替レートが1ドル100円から120円になってしまった場合には、その分だけ多くの日本円が必要になってしまいます。

このようなリスクをヘッジするために企業は為替予約・先渡契約を行うことがあります。為替予約とは将来の約束した日にあらかじめ決められた為替レートで外貨を買う契約のことです。つまり、事前に為替レートを固定することで、その後の変動による為替リスクを抑えようという意図です。現在は多くの企業が銀行などの金融機関で為替予約を行っていますが、代替えの手段としてKantoxというフィンテック企業のサービスを利用することができます。KantoxはP2P(Peer to Peer)の為替ヘッジ取引プラットフォームです。

仕組みは次の通りです。

例えば、日本にある会社Aが米国にある会社Bから50万ドルの支払いを受けるとします。そして、その支払いは6ヶ月先です。また別の米国にある会社Cは日本にある会社Dから5,000万円の支払いを6ヶ月後に受け取ることになっているとします。つまり、半年後に取引先からそれぞれ、日本の会社Aはドルを、米国の会社C社は円を受け取ることになります。この際に、日本の会社Aと米国の会社CがKantoxのサービスを通じてデジタル上で、契約が締結された時の中値 (mid-market rate)のレートで為替取引実行を6ヶ月後に行うことに契約をします。そして、6ヶ月後会社Aは受け取った50万ドルを、会社Cは5,000万円をKantoxが管理する分離したアカウントに振り込み、両者からの振り込みが確認されたら、そこから契約に基づいて日本の会社Aには円で、米国の会社Cにはドルで振り込まれます。

銀行を通じた為替予約をするよりもKantoxを利用することの利点は以下の4つです。
1. 手数料が一定額
手数料が一定であり、また大きな金額の為替取引なら手数料が大幅にさがります。
2. 仲値(mid-market rate)の利用
銀行などではスプレッドなどの手数料を上乗せした為替レートを使用しなくてはなりませんが、市場の需給で決まった仲値の為替レートで取引できることで、スプレッドなどの手数料によるヘッジコストを下げることができます。
3. クレジットラインやmargin deposit(受け入れ証拠金)が必要ない
4. タイムリミットなしの長期の為替ヘッジが可能

Kanotxでは中・長期での為替ヘッジも可能です。例えば長期の輸入契約に関する支払いをkantoxを用いれば、輸入にかかるコストの見積もりやすくなり、予算や値段なども計算しやすくなります。

フィンテック企業のサービス活用により、為替リスクを抑えることが容易になります。このようなプラットフォームは、参加企業が増えれば増えるほど、マッチする条件が増え利便性が高まります。まずは、少額の取引からでも活用をはじめ、企業内で利用体験を積むことで活用ノウハウが貯めることができます。

CFOや財務担当がいない企業では、為替リスクに経営者が対応する時間が増え、見えない時間がコストになっていることも多いです。より事業に専念できる時間を増やすためにこのようなサービスは早めに取り入れることが、事業成長の要になることでしょう。